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派遣社員の退職代行|契約途中退職と民法628条「やむを得ない事由」を判例から解説【2026年版】

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派遣社員は退職代行を使えます。ただし「三角構造」と「有期契約」という2つの固有事情が、正社員のケースとは論点をずらします。退職の申し出先は雇用契約の相手方である派遣元であり、派遣先に直接伝える義務はありません。有期契約(登録型派遣)の場合は民法628条「やむを得ない事由」が途中退職の鍵になりますが、実務上は派遣元が合意退職に応じるケースが多く、訴訟まで進む事案は限定的です。派遣元との交渉が生じる局面では、団体交渉権を持つ労組型退職代行が最も対応範囲が広くなります。

この記事の要点

  • 退職通知の相手は派遣元のみ。退職代行も派遣元に動く
  • 有期契約でも「やむを得ない事由」(心身の故障・パワハラ・賃金不払い等)があれば途中解除可能
  • 派遣元との交渉リスクを見越すなら、民間型より労組型・弁護士法人型を最初から選ぶ方が合理的

目次

1. 派遣社員に退職代行ニーズが集中するのはなぜか

退職代行モームリが2024年に公表した利用元企業ランキングでは、TOP10のうち4社が人材派遣会社で、上位40社の40%を派遣会社が占めました(出典:TSR)。マイナビの退職代行利用実態調査(2024年)でも、雇用形態別の利用率は派遣・契約社員が正社員に次ぐ水準です(出典:マイナビキャリアリサーチLab)。

理由は主に3つです。契約期間中の申し出は心理的ハードルが高く第三者介入を求めやすいこと、派遣元と派遣先の双方への説明負担を回避したいこと、就業先トラブルを派遣元に相談しても改善されない場合に外部介入で打開を図るパターンが多いことです。


2. 三角構造と退職の申し出先

労働者派遣法第26条以下は、派遣元と派遣先の間で派遣契約を、派遣元と労働者の間で雇用契約を結ぶ枠組みを定めています(出典:e-Gov 労働者派遣法)。退職の意思表示は雇用契約の相手方に対して行うため、申し出先は派遣元です。派遣先への通知は法的義務ではありません。

退職代行を利用した場合も同様で、業者は派遣元にのみ連絡します。派遣先への実務連絡(最終出勤日・備品返却・引き継ぎ)は、派遣元が派遣先と調整するのが通常の流れです。

無期雇用派遣と登録型派遣の違い

無期雇用派遣(常用型)は民法627条が適用され、退職の申し入れから2週間で雇用契約を解除できます(出典:e-Gov 民法)。一方、登録型派遣(有期雇用)は民法628条の「やむを得ない事由」が問われるため、論点がひとつ増えます。


3. 有期契約の途中退職と民法628条

登録型派遣の中途退職において最も頻繁に問われるのが民法628条です。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。(出典:e-Gov 民法

「やむを得ない事由」として判例上認められやすい事情の一般論としては、心身の故障(医師の診断書を伴う健康悪化)・家族の介護が必要になった・賃金不払いや労働条件の重大な相違・パワハラ・セクハラなどが挙げられます(出典:連合Q&A No.25)。

一方で「合わない」「人間関係が嫌」だけでは認められにくい傾向がありますが、実務上は派遣元が合意解約に応じるケースも多く、訴訟まで進む事案は限定的です(出典:連合Q&A No.30)。

労基法附則137条の見落とし注意

1年を超える有期労働契約については、労働基準法附則第137条により、契約初日から1年経過後はいつでも任意退職が可能です。3年契約で1年6ヶ月経過しているなら、「やむを得ない事由」の有無を問わず退職できます。長期更新を重ねた登録型派遣ではこの規定が適用されることがあります。

損害賠償リスクについて

民法628条但書は、やむを得ない事由が当事者の過失によって生じた場合の損害賠償を定めています。ただし実務上、派遣元が労働者個人に請求を行う事例は極めて稀で、裁判例でも「企業に著しい損害を与えた」ことの立証が必要とされハードルは高めです。詳細は損害賠償判例の整理を参照ください。


4. 業者3類型と派遣社員への当てはめ

退職代行業者は民間型・労組型・弁護士法人型の3類型に分かれます(詳細比較は退職代行の3類型完全比較を参照)。派遣社員にとって最も重要な違いは「派遣元との交渉ができるかどうか」です。

民間型は弁護士法72条により法律事務に該当する交渉ができません。退職の意思を伝える「伝言」が業務範囲の上限です。派遣元が「契約期間中のため認められない」と回答した場合、民間業者はその先に進めません。

労組型は労働組合法に基づく団体交渉権で、有給消化・退職日・未払賃金について派遣元と交渉できます。派遣社員も労働組合に加入でき、派遣元との団体交渉も可能です。契約途中退職で派遣元との調整が必要になるケースでは、労組型の対応範囲が広くなります。

2025年10月、東京弁護士会は労組型の一部運営について「実態が伴わない労働組合の介在」を問題視する注意喚起を発出しています(出典:東京弁護士会)。労組型を選ぶ際は組合員数・団体交渉実績などの運営実態を確認することを勧めます。

弁護士法人型は損害賠償請求への応訴・法律事務全般を扱えます。料金は55,000円〜が中心帯ですが、契約途中退職で損害賠償リスクが具体的に想定される場合は費用対効果が高くなります。

派遣社員で「有期契約の途中退職・派遣元との調整ありうる」という状況なら、民間型からスタートすると後から労組型・弁護士型に切り替える二重コストが生じる可能性があります。最初から労組型を選ぶ方が合理的な場合が多いです。

会社とのやり取りを自分でしたくない場合、労働組合型の退職代行なら団体交渉権にもとづき有給消化や退職日の調整を交渉できます。

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5. 退職後の失業保険と派遣固有の注意点

退職代行を利用して辞めても、退職代行の利用自体が失業保険の受給に影響することはありません。離職票の離職理由欄に「退職代行を利用」と記載されることもありません。

2025年4月の雇用保険法改正で、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。派遣社員が自己都合で契約途中退職した場合も、原則として給付制限1ヶ月が適用されます。

派遣固有の論点として、契約満了退職は「特定理由離職者」になれる可能性があります。契約満了時に更新を希望したが派遣元が新たな就業先を用意できなかった場合、給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。健康上問題がなければ、契約満了まで勤めてから特定理由離職者として受給する選択肢との比較が経済的に重要です。

失業保険受給中も派遣会社への登録は継続できますが、実際に派遣就業を開始した場合はアルバイト扱いとして申告義務が生じます。管轄ハローワークに事前確認することを勧めます。

詳細は退職代行を使った後の失業保険・給付金を参照ください。


FAQ

Q. 民間の退職代行業者でも派遣社員の退職を頼めますか?

依頼自体は可能です。ただし、派遣元が「契約期間中のため認められない」と回答した場合、民間業者は弁護士法72条により交渉ができません。契約途中退職でトラブルを避けたい場合は、最初から労組型または弁護士法人型を選ぶことを検討してください。

Q. 派遣先からのパワハラが原因の場合、退職代行と並行して相談できる窓口はありますか?

まず派遣元に状況を伝えるのが先決です。派遣元には派遣先への改善要請や就業先変更を行う義務があります。派遣元が動かない場合は労組型退職代行の団体交渉、または労基署・連合への相談を並行させる選択肢があります。


編集部からのご注意

本記事は退職代行サービスの一般的な解説であり、特定の事案への法的助言ではありません。民法628条・労働基準法附則137条の適用は個別事案で異なります。損害賠償リスクや派遣先トラブルが争点となる場合は、必ず弁護士にご相談ください。

⚠️ 弁護士法人みやびについて:2026年2月24日、所属の佐藤秀樹弁護士および弁護士法人みやびがモームリ事件関連で弁護士法違反罪により在宅起訴されています(出典:時事通信2026/2/24)。詳細はモームリ事件の全貌を参照ください。利用を検討する場合は最新動向を確認の上で判断してください。

本記事の引用元は2026年6月13日時点の情報です。法改正・業者の状況変化により最新情報が異なる場合があります。


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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
【取扱領域】
退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
【編集方針】
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