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SE・SES業界の退職代行|偽装請負・プロジェクト離脱の損害賠償リスクと弁護士型推奨理由【2026年版】

広告/PR:本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。編集方針として合法性スコアに基づき業者・サービスを選定し、利用者の利益を損なわない範囲で掲載しています。

先に結論です。SESエンジニアが退職代行を使うこと自体に法的な問題はなく、客先常駐中であっても民法627条により申し入れから2週間で雇用は終了します。「プロジェクト途中では辞められない」「損害賠償を請求する」という引き留めの多くは、会社間の準委任契約とエンジニア個人の雇用契約を混同した主張です。本記事では、SES業界特有の法的構造・判例・退職後のITキャリア設計を一次情報と併せて整理します。

※本記事には広告(PR)が含まれます。個別の判断は弁護士・社会保険労務士にご相談ください。

この記事の要点

  • SES契約(民法656条・準委任)とエンジニア個人の雇用契約(民法627条)は別物。プロジェクト期間は個人の退職を縛れない。
  • M社事件(大阪地判R7.1.27)で「退職代行利用=引継ぎ義務違反ではない」と判示された。
  • 退職後のキャリア再設計がSES離脱の本丸。IT特化の学び直し・転職支援を早めに並走させると選択肢が広がる。

目次

1. SES退職代行が増える理由:業界構造と離職率データ

情報通信業の離職率は、厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によれば12.4%で、入職率10.2%を上回る純減状態です(出典:厚労省 令和6年雇用動向調査)。全産業平均(入職率14.8%/離職率14.2%)と比較しても入職率の低さが目立ちます。

産業 入職率 離職率 純増減
全産業平均 14.8% 14.2% +0.6%
情報通信業 10.2% 12.4% -2.2%
建設業 9.4% 9.5% -0.1%

日経クロステックは、退職代行主要業者の集計データをもとにIT系利用者の約7割がSESエンジニアと報じています(出典:日経クロステック)。この偏りには3つの構造的な要因があります。

  • 客先常駐で自社上司と話す機会が物理的に少なく、辞意を伝えにくい
  • プロジェクト途中での離脱が「引継ぎ責任」として強調され、心理的圧力が働きやすい
  • 多重下請構造で「次の現場が決まったら」と引き留めが繰り返されやすい

退職代行の利用増は個人の問題ではなく、業界構造への対処手段としての需要です。


2. SES業界の法的構造:「準委任」と「雇用」は別の契約

SES退職を理解するうえで最重要なのは、会社間の準委任契約とエンジニア個人の雇用契約が法的に別物だという点です。

SESの典型的な契約関係は次の3層に分かれます。


【エンジニア個人】──雇用契約(民法623条)──【所属会社(SESベンダー)】
                                                    │
                                               準委任契約(民法656条)
                                                    │
                                            【元請SIer or 客先企業】

エンジニア個人と直接の契約関係にあるのは所属会社のみで、客先との間に直接の契約関係はありません。エンジニア個人と所属会社の関係は雇用契約であるため、民法627条が適用されます。

第627条第1項:当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(出典:e-Gov 民法第627条

プロジェクトの途中であっても、客先常駐中であっても、この原則は変わりません。会社間の準委任契約には民法651条が適用されますが、その当事者はエンジニア個人ではなく所属会社と客先です(出典:e-Gov 民法第651条)。

実務でよく見られる「辞めさせない」言説の多くは、この契約主体の混同に基づいています。

  • 「お前が抜けるとプロジェクト全体が止まる」→ 代替要員の確保は会社間の責任
  • 「客先から違約金請求が来る」→ 会社間の準委任解除リスクであり個人に転嫁できない
  • 「契約期間(3か月単位等)の途中では辞められない」→ 会社間契約の期間であり、雇用契約の期間ではない

会社間で発生する違約金をエンジニア個人に転嫁することは、労働基準法第16条(違約金予定の禁止)の観点から認められにくい類型です。また、入社時の資格取得費用や研修費の返還請求も同条の規制対象になりやすいとされています。


3. SES退職代行の典型的な引き留めパターンと対処

SESエンジニアが「辞めたいのに辞められない」状態に陥る典型的なパターンと、法的な整理を3点まとめます。

パターン1:「次の人が決まるまで残ってくれ」と無期延長される

後任者の確保は会社の責任であり、エンジニア個人が代替要員を手配する法的義務はありません。民法627条の2週間ルールは、後任者の有無にかかわらず適用されます。

パターン2:「損害賠償する」と示唆される

退職代行を使って辞意を伝えること自体を理由に損害賠償が認められた公開判例は確認されていません。ただし、退職に伴って客先契約を積極的に破壊する行為(ケイズインターナショナル事件・東京地判、損害賠償70万円認容)は別の話です(出典:全基連 労働判例)。詳細は 損害賠償判例の整理 を参照してください。

パターン3:偽装請負状態で誰に辞意を伝えればいいか分からない

形式上は準委任でも、客先社員が直接業務指示を出している・客先が勤怠を管理しているなどの実態がある場合、偽装請負に該当する可能性があります(出典:東京労働局 偽装請負)。該当する場合は労働者派遣法上の保護が発生し、労働契約申込みみなし制度(派遣法第40条の6)の適用が選択肢になります(出典:労働者派遣法 e-Gov)。こうした交渉が必要な局面では弁護士法人型退職代行が対応範囲として整備されています。


4. 判例整理:M社事件(大阪地判R7.1.27)とケイズ事件の違い

「プロジェクト途中で抜けたら損害賠償される」という不安に対して、公開判例から実態を整理します。

2025年1月27日の大阪地裁M社事件では、退職代行を利用して退職することはそれ自体として引継ぎ義務違反に当たらないと判示されました(出典:アイデム人事労務情報)。退職代行業者を介した意思表示でも退職の効力は発生すると明確にされた点で、SESエンジニアにとって参照しやすい判例です。

事案類型 損害賠償認容の傾向
退職代行で辞意を伝えただけ 認容例は確認されない(M社事件R7.1.27が補強)
退職時に客先契約を積極的に破壊 ケイズ事件等で認容例あり
機密情報持ち出し・転職先での悪用 不正競争防止法等で別途問題化
故意の業務妨害(システム破壊等) 刑事・民事双方で別途問題化

退職代行依頼時には、所持している業務情報の引継ぎリストを用意しておくと個別の引継ぎ義務違反リスクを下げやすくなります。

モームリ事件(2026年2月起訴)以降、退職代行業界では弁護士法人直営型・労組直営型と、民間業者による非弁提携型の区別が重要になっています。民間業者が弁護士に有償で利用者を紹介していた非弁提携の問題が起訴に至った経緯については モームリ事件の全貌 を参照してください(出典:時事通信 2026/2/24)。


5. 退職後のITキャリア設計:SESから抜け出す3つのルート

SES退職代行の利用後、次のキャリアをどう設計するかが実質的な問題です。SES構造から離れる主な転換先を整理します。

ルート1:自社開発企業(事業会社の社内エンジニア)

客先常駐・準委任の構造から離れ、同一組織でプロダクト開発に携わる形です。スキルの蓄積サイクルが安定しやすく、SES離脱の典型的な理由に対応しやすいルートです。

ルート2:フリーランス(業務委託)

SES現場での経験を活かして個人事業主として準委任契約を結び直す形です。単価・案件選択の自由度は上がりますが、税務・社会保険の自己管理が必要になります。

ルート3:IT業界内での職種転換(PdM・社内SE・ITコンサル等)

エンジニアリング業務から距離を置きたい場合の選択肢です。IT営業・PdM・ITコンサルはエンジニア経験が直接活かせる職種として需要があります。

退職後の学び直し・転職活動を退職代行依頼と並走させておくと、SES離脱から次のポジション確定までの空白期間を短縮しやすくなります。IT特化の転職サポート・スキル習得支援については以下を参考にしてください。

IT・エンジニア方面への転職を考えるなら、経験や年齢に応じて相談できる支援サービスを使う選択肢もあります。

SES経験を活かして次のエンジニアポジションを探す場合は、ITエンジニア特化の転職エージェントも選択肢のひとつです。

TechGo|ITエンジニア特化の転職エージェント(公式サイト)

ITエンジニアの転職支援サービスです。対象条件・取扱求人は公式サイトでご確認ください。

未経験・経験浅めでキャリア相談から始めたい場合は、以下も選択肢になります。

ウズウズIT|IT特化のキャリア相談(無料)

対象は18〜29歳・首都圏/関西/東海などの条件があります。詳細は公式サイトでご確認ください。

損害賠償示唆・偽装請負是正など、退職代行利用時に法的交渉が必要な局面では弁護士法人型または労組型の退職代行サービスが対応範囲の選択肢となります。

会社とのやり取りを自分でしたくない場合、労働組合型の退職代行なら団体交渉権にもとづき有給消化や退職日の調整を交渉できます。

わたしNEXT|労働組合運営の退職代行(公式サイト)


6. SES固有のFAQ

Q. SES契約の途中でも退職代行は使えますか?

使えます。会社間の準委任契約(民法656条)とエンジニア個人の雇用契約(民法627条)は別物です。期間の定めのない雇用は解約申入れから2週間で終了し、後任者の確保有無にかかわらず退職の効力は発生します。

Q. 偽装請負状態の場合、退職時に請求できることはありますか?

偽装請負と認定される実態がある場合は、労働者派遣法上の保護(労働契約申込みみなし制度・同一労働同一賃金等)が選択肢になります。客先からの直接指示記録・勤怠管理表などの証拠を保全したうえで弁護士に相談することが先決です。個別事案の判断は弁護士にご相談ください。


まとめ:SES退職は「契約構造の整理」と「次のキャリア設計」を並走させる

SESエンジニアの退職代行利用は、IT業界の構造的な問題への対処手段として需要が高まっています。本記事の要点は以下のとおりです。

  • 情報通信業の離職率は12.4%で入職率を上回る純減。IT退職代行利用者の約7割がSES層(日経クロステック)
  • 民法627条により雇用は申入れから2週間で終了する。プロジェクト期間は個人の退職を縛れない
  • M社事件(大阪地判R7.1.27)で退職代行利用自体は引継ぎ義務違反ではないと判示
  • 退職後のキャリア再設計を退職代行依頼と並走させると空白期間を短縮しやすい

関連する法的リスクの詳細は 退職代行で懲戒解雇になる可能性は?バックレ vs 退職代行 完全比較 を参照してください。


参考文献(一次情報)

  • 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf
  • e-Gov 民法第627条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • e-Gov 民法第651条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 東京労働局 偽装請負について https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/001.html
  • e-Gov 労働者派遣法(第40条の6) https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
  • アイデム人事労務情報「M社事件(大阪地判R7.1.27)」 https://apj.aidem.co.jp/column/2544/
  • 全基連 労働判例(ケイズインターナショナル事件) https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06032.html
  • 時事通信「退職代行モームリ 谷本夫妻起訴」(2026-02-24) https://www.jiji.com/jc/article?k=2026022401063&g=soc
  • 日経クロステック「SESエンジニアの退職代行利用実態」 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10505/

辞めた後のお金と転職・学び直しのルートはSESを辞めたい人の出口戦略で整理しています。

免責:本記事は一般論としての法律解説です。準委任契約の解釈・偽装請負の認定・損害賠償の個別計算は事案により判断が分かれます。個別事案は弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
【取扱領域】
退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
【編集方針】
・体験談を掲載せず、e-Gov条文・公的調査・公式公表値を根拠とする
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