失業中に資格を取るなら、「どの資格か」を考える前に「お金の制度」を押さえるのが先です。結論として、失業中の学び直しには教育訓練給付・公共職業訓練・求職者支援という3つの公的制度があり、これらを使えるかどうかで費用負担も失業保険の受給期間も変わります。なかでも公共職業訓練を受講指示で受けると、失業保険が訓練終了まで延長されるケースもあります。本記事では、給付金が使える資格の分野マップと、費用対効果の低い「やめておく資格」の見分け方を、厚労省資料をもとに中立に整理します。資格はあくまで選択肢の1つです。
※本記事には広告(PR)が含まれます。
※給付・訓練の対象や併用可否、受講指示の判断は個別の状況により異なります。最新の要件はハローワークで必ず確認してください。
まず「お金の3制度」を押さえる
失業中の資格取得を考えるとき、最初に確認したいのは資格名ではなく、自分が使える公的制度です。費用や受給期間が大きく変わるためです。代表的な制度は3つあります。
教育訓練給付(民間スクール費用の一部を給付)
教育訓練給付は、国が指定した講座を修了すると受講費の一部が支給される雇用保険の制度です。給付率は種別で20〜80%に分かれます(厚労省 教育訓練給付制度)。民間スクールの幅広い講座から選べる一方、自己負担は残ります。詳しい調べ方は教育訓練給付金の対象講座の調べ方で解説しています。
公共職業訓練(受講料が原則無料)
公共職業訓練(ハロートレーニング)は、受講料が原則無料の公的な訓練です。テキスト代などは自己負担ですが、講座費用の負担を抑えられます。後述する訓練延長給付の対象になる点も大きな特徴です。
求職者支援制度(雇用保険を受給できない人向け)
雇用保険の基本手当を受給できない求職者などが一定の要件を満たすと、求職者支援制度により月10万円(職業訓練受講給付金)が支給される場合があります(厚労省 求職者支援制度)。支給には収入・資産・出席率などの要件があります。仕組みは職業訓練を受けながら月10万円もらう方法で詳しく解説しています。
公共職業訓練なら失業保険が延びることがある
失業保険を受給中の人にとって、公共職業訓練の最大のメリットは「訓練延長給付」です。資格選びの前に、この仕組みを知っておくと判断が変わることがあります。
訓練延長給付の仕組み
公共職業訓練をハローワークの「受講指示」(ハローワークが必要と認めて訓練を指示すること)で受講すると、訓練期間中は基本手当が支給されます。さらに、所定給付日数(受け取れる日数)が訓練の途中で終わっても、訓練終了まで基本手当が延長されます。これを訓練延長給付といいます(雇用保険法24条/ハロートレーニング 各種制度)。
総額が増えるケースもある
たとえば所定給付日数が90日の人が、半年〜1年の訓練を受講指示で受けると、訓練終了まで基本手当の支給が続くことがあります。結果として、失業保険の総額が増えるケースがあります。受講料が無料の訓練で、かつ手当も延びる可能性がある点は、費用対効果の面で見逃せません。
受講指示は誰でも受けられるわけではない
ただし、訓練延長給付には所定給付日数の残日数要件などがあり、受講指示を出すかどうかはハローワークの判断です。誰でも自動的に延長されるわけではありません。自分が対象になるかは、訓練の申し込み前にハローワークで必ず確認してください。失業保険の見込み額は失業保険の計算シミュレーションも参考になります。
給付金が使える資格の分野マップ
ここでは、求人で一定の需要があり、給付金・職業訓練の対象になりやすい分野を中立に整理します。資格があれば必ず就職できるわけではなく、あくまで選択肢を広げる手段の1つです。狙える制度の傾向も併記しますが、個別の講座の対象可否は検索システムとハローワークで確認してください。
主な分野と狙える制度の傾向
| 分野 | 代表的な資格・講座 | 狙いやすい制度の傾向 |
|---|---|---|
| IT | 基本情報技術者・ITパスポート・Web系 | 教育訓練給付(高度講座は専門実践)/公共職業訓練 |
| 介護 | 介護職員初任者研修 | 公共職業訓練/教育訓練給付 |
| 医療事務 | 医療事務関連 | 教育訓練給付/公共職業訓練 |
| 経理・会計 | 日商簿記 | 教育訓練給付/公共職業訓練 |
| 不動産 | 宅地建物取引士(宅建) | 教育訓練給付 |
「無料で狙う」か「給付で狙う」かで分かれる
同じ分野でも、公共職業訓練のコースがあれば受講料無料で狙えます。一方、民間スクールの講座は教育訓練給付で費用の一部が戻ります。どちらが向くかは、コースの有無・学びたい内容・通学のしやすさで変わります。
「傾向」であって確定ではない
上の表はあくまで一般的な傾向です。同じ資格でも、講座やコース、受講開始時期によって給付の種別や対象可否は変わります。「IT系だから必ず専門実践(最大80%)」とは限りません。対象講座・給付率はコースと時期で異なるため、教育訓練講座検索システムとハローワークで確認してください。
※このセクションは広告(PR)を含みます
IT・Web系の資格や講座で学び直しを具体的に検討したい場合、スクールの無料カウンセリングで「自分に合う講座が教育訓練給付金の対象か・給付率はどうか」を確認してから判断する方法があります。
インターネット・アカデミー(Web・ITスクール)無料カウンセリング 公式サイト
資格は就職を保証するものではありません。対象講座かどうかはコース・時期で異なります。受講を決める前に、教育訓練講座検索システムとハローワークで対象可否を必ず確認してください。費用をかけない選択肢として、公的な職業訓練(受講料原則無料・条件を満たせば月10万円の給付あり)もあります。
「やめておく資格」の見分け方
失業中はお金にも時間にも余裕がないことが多いものです。費用対効果が見合わない資格を避けるため、次の3つの観点でチェックすると判断しやすくなります。
求人で評価されにくい民間資格
民間団体が独自に認定する資格の中には、求人票でほとんど見かけないものもあります。取得しても応募できる求人が増えにくければ、就職への効果は限定的です。狙う資格が、実際の求人でどれくらい求められているかを先に確認すると無駄を避けられます。
費用対効果が低い資格
受講費や受験料が高いわりに、給与や採用への影響が小さい資格は、失業中の限られた予算では優先度が下がります。「いくらかけて、どんな求人につながるか」を具体的に見比べることが大切です。
給付対象外で高額な講座
教育訓練給付の対象は、国が指定した講座に限られます。検索システムに載っていない講座は原則として給付の対象外です。給付対象外で受講費が高額な講座は、自己負担が重くなりがちです。受講前に対象かどうかを検索システムで確認してください。
教育訓練給付と職業訓練の使い分け
教育訓練給付(民間スクール)と公共職業訓練(無料)は、どちらが優れているという話ではなく、状況で使い分けるものです。主な違いを表にまとめます。
使い分け早見表
| 項目 | 教育訓練給付(民間スクール) | 公共職業訓練(ハロートレーニング) |
|---|---|---|
| 受講料 | 自己負担あり(20〜80%が後から給付) | 原則無料(テキスト代等は自己負担) |
| 講座の選択肢 | 広い(指定講座から自由に選択) | 公的に用意されたコースから選択 |
| 給付のタイミング | 修了後または受講中(種別による) | 受講中に基本手当(受給者の場合) |
| 失業保険の延長 | 対象外 | 訓練延長給付の可能性あり |
| 向いている人 | 特定の講座・スクールで学びたい | 費用を抑えたい・手当を延ばしたい |
迷ったら「無料+延長」を先に検討
費用をかけたくない人や、失業保険を受給中の人は、まず公共職業訓練を検討する余地があります。受講料無料で、受講指示を受ければ訓練延長給付の対象になる可能性があるためです。希望のコースがない場合や、より専門的な講座を選びたい場合に、教育訓練給付の活用を検討するという順番が考えやすいでしょう。
申請・受講の流れと注意点
制度ごとに手続きは異なりますが、共通して大切なのは「受講を申し込む前に、対象可否と手続きの順番を確認する」ことです。
公共職業訓練の大まかな流れ
- ハローワークで求職申込・職業相談をする
- 訓練コースを選び、受講申し込み・選考(面接・筆記など)を受ける
- 受講指示・受講あっせんの判断を受ける
- 受講開始(受給者は訓練中に基本手当、対象なら訓練延長給付)
教育訓練給付の注意点
特定一般・専門実践教育訓練は、受講開始前にキャリアコンサルティングと受給資格確認が必要です。順番を間違えると給付対象外になる場合があります(厚労省 教育訓練給付制度)。詳しい手順は教育訓練給付金の対象講座の調べ方を参照してください。
併用・延長は必ずハローワークで確認
制度の併用可否や、訓練延長給付の対象になるか、受講指示が出るかは、個別の状況とハローワークの判断によります。本記事の内容は一般的な整理であり、自分のケースに当てはまるかは必ずハローワークで確認してください。退職後の受給期間や給付金全体の整理は退職後の給付金 完全ガイドもあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
失業保険をもらいながら資格の勉強はできますか?
失業認定日ごとの求職活動の要件を満たしていれば、求職活動と並行して学習すること自体は可能です。公共職業訓練を受講指示で受ける場合は、訓練期間中も基本手当が支給され、訓練延長給付の対象になることもあります。詳しい要件はハローワークで確認してください。
この資格を取れば就職できますか?
資格は就職を保証するものではありません。資格はあくまで応募できる求人や評価を広げる選択肢の1つです。求人で実際に求められているかを確認したうえで、制度を活用して費用対効果よく取得することが現実的です。
教育訓練給付と公共職業訓練は併用できますか?
併用の可否や順序は制度・タイミング・個別の状況によります。自己判断せず、ハローワークで必ず確認してください。
求職者支援制度の月10万円は誰でももらえますか?
いいえ。雇用保険を受給できない求職者などのうち、収入・資産・出席率などの要件を満たした人が対象です(厚労省 求職者支援制度)。詳しくは職業訓練を受けながら月10万円もらう方法をご覧ください。
まとめ
失業中の資格選びは、資格名より先に「お金の制度」を押さえると失敗が減ります。
- 制度は3つ(教育訓練給付20〜80%/公共職業訓練・原則無料/求職者支援・月10万円)
- 公共職業訓練を受講指示で受けると、訓練延長給付で失業保険が延びるケースがある
- IT・介護・医療事務・簿記・宅建などは給付・訓練の対象になりやすい傾向
- 「求人で評価されにくい/費用対効果が低い/給付対象外で高額」な資格は要注意
- 費用を抑えたい人・受給中の人は、まず無料+延長の公共職業訓練を検討する余地がある
資格は就職を保証するものではなく、選択肢の1つです。制度の併用可否・受講指示・訓練延長給付の対象は個別の状況により異なります。最終的な可否は、教育訓練講座検索システムとハローワークで必ず確認してください。
参考文献
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
- 厚生労働省「求職者支援制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufu/seikyu_madoguchi.html
- 愛知労働局「ハロートレーニング(求職者支援訓練・公共職業訓練)各種制度」 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/kunren_seido.html
- e-Gov 雇用保険法 第24条(訓練延長給付)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。給付・訓練の可否、金額、併用可否、受講指示や訓練延長給付の対象は受講開始時期や個別の状況により異なります。個別事案はハローワークまたは専門家にご相談ください。

コメント