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失業保険(雇用保険の基本手当)でいくら受け取れるかは、退職後の生活設計の土台になります。受給額は「賃金日額 × 給付率 × 所定給付日数」の掛け算で決まり、月収25万円なら基本手当日額は約5,710円、月収42万円なら上限の8,055円(30〜44歳・2025年8月時点)が目安です。ただし同じ月収でも、退職理由が自己都合か会社都合かで給付日数が変わり、受け取れる総額が2倍近く変わる場合があります。以下、計算の仕組みと月収別の概算を、ハローワーク・厚生労働省の公的資料をもとに整理します。
この記事の要点:
- 基本手当日額は「離職前6か月の賃金合計 ÷ 180 × 給付率(50〜80%)」で計算し、年齢別の上限額(29歳以下7,255円・30〜44歳8,055円など)を超えない
- 退職理由が会社都合や特定理由(ハラスメント・賃金未払い等)に当たると、給付日数が自己都合の90日から最大330日まで延び、総額が大きく変わる
- 計算式と早見表は目安であり、正確な支給額は離職票提出後にハローワークが決定する
基本手当日額の計算と上限・下限
失業保険(基本手当)の総額は「賃金日額 × 給付率 × 所定給付日数」の掛け算で決まります。賃金日額は離職前6か月の賃金から、給付率は賃金の水準から、所定給付日数は退職理由・年齢・加入期間からそれぞれ決まります。このうち退職理由によって最も大きく変わるのが「所定給付日数」です。
賃金日額の計算式は次のとおりです(ハローワーク 基本手当について)。
賃金日額 = 離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計 ÷ 180
ここでの「賃金」は額面(税・社会保険料を引く前)で、賞与(ボーナス)は含みません。残業代や通勤手当などの毎月の手当は含みます。額面の月収が42万円なら、賃金日額は「42万円 × 6 ÷ 180 = 約14,000円」となりますが、この場合は後述する上限が適用されます。
賃金日額に給付率を掛けたものが基本手当日額(1日あたりの支給額)です。給付率は50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低い人ほど高い率になります(前掲・ハローワーク)。また、基本手当日額には年齢区分ごとの上限額と全年齢共通の下限額があります。2025年8月1日改定の現行額は次のとおりです(厚生労働省 基本手当日額の変更(PDF))。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,510円 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 16,110円 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 17,740円 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 16,940円 | 7,623円 |
下限額は全年齢共通で、賃金日額3,014円・基本手当日額2,411円です(前掲・厚労省)。賃金が高くても上限を超える分は支給されず、低くても下限は保障される仕組みです。上記の金額は毎年8月1日付で改定されます。
なお、「賃金日額」の計算に使う6か月は、退職した月の前月から遡った6か月間が基本です。賃金締め日によって起算月が変わることがあるため、正確な算定期間はハローワークが離職票をもとに確認します。また、賃金日額の算定に使う賃金は「毎月決まって支払われた賃金」であり、残業代・通勤手当・住宅手当なども含まれますが、臨時に支払われた賃金(引越し手当・私傷病手当など)や賞与は除きます。
所定給付日数:退職理由で大きく変わる
基本手当日額に「所定給付日数」を掛けると、おおよその総額になります。所定給付日数は退職理由と雇用保険の加入期間、離職時の年齢の組み合わせで決まります。
自己都合退職や定年・契約満了などの一般の離職者は、雇用保険の加入期間に応じて次のとおりです(ハローワーク 所定給付日数)。
| 雇用保険の加入期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
倒産・解雇や、ハラスメント・賃金未払いなどによる離職(特定受給資格者・特定理由離職者)は、年齢と加入期間で日数が増えます(前掲・ハローワーク)。
| 年齢\加入期間 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
同じ人でも、自己都合か会社都合かで給付日数が2倍以上になる場合があることがわかります。たとえば40歳・加入期間5〜10年の場合、自己都合なら90日のところ、特定受給資格者に認定されると180日になります。この差は基本手当日額を掛けると、月収25万円の人で約51万円相当(約103万円−約51万円)に相当します。
なお、雇用保険の加入期間は直近の雇用先だけでなく、過去の勤務先の期間を通算できる場合があります。転職を経ている方は、通算期間によって所定給付日数が変わる可能性があるため、離職時に確認しておくとよいでしょう。
月収別シミュレーション(概算)
ここまでの要素を使い、月収別の目安をまとめます。額面月収(賞与除く)・30歳・2025年8月時点の計算式を前提とした概算です。実際の金額は個人の状況により異なります。
| 額面月収 | 基本手当日額(目安) | 自己都合90日の総額 | 会社都合180日の総額 |
|---|---|---|---|
| 15万円 | 約4,000円 | 約36万円 | 約72万円 |
| 20万円 | 約4,990円 | 約45万円 | 約90万円 |
| 25万円 | 約5,710円 | 約51万円 | 約103万円 |
| 30万円 | 約6,210円 | 約56万円 | 約112万円 |
| 35万円 | 約6,490円 | 約58万円 | 約117万円 |
| 42万円(年収500万) | 8,055円(上限) | 約72万円 | 約145万円 |
年収500万円(月収42万円)の場合でも、退職理由が自己都合か会社都合かで約73万円の差が生じます。退職理由の判定は、受給総額に直結する重要なポイントです。
退職後にもらえるお金は失業保険だけではありません。給付金・手当の全体像はこちらでまとめています。
受給開始までの流れと「待期・給付制限」
失業保険は、退職後すぐに振り込まれるわけではありません。受給を開始するには、まずハローワークに求職申込みをして受給資格の決定を受ける必要があります。その後、全員に「待期7日間」があり、この期間は支給されません。
自己都合退職の場合、待期の後にさらに「給付制限期間」があります。2025年4月以降、この期間は原則1か月に短縮されています(従来は2〜3か月)。ただし、自己都合であっても自分で教育訓練給付の対象講座を受講している場合などは給付制限が課されないケースもあります。会社都合(特定受給資格者)の場合は給付制限がなく、待期明けから受給が始まります。
給付制限の有無・長さは離職理由の判定結果に連動します。判定後に「自己都合」とされた場合でも、実態がハラスメントや長時間労働によるものであれば、特定受給資格者への変更を申し出られる手続きがあります。給付制限の有無や最新の取り扱いはハローワークでご確認ください。失業給付の手続きや受給期間の全体像は、こちらで詳しく解説しています。
「会社都合にしたい」と思ったときに確認すること
給付日数が大きく変わるため、退職理由の判定は重要です。ハラスメントや長時間労働、賃金未払いなどが原因の退職は、特定受給資格者・特定理由離職者と認められる場合があります。
退職前に、勤務状況の記録(残業時間がわかるタイムカードや勤怠ログ、ハラスメントの経緯メモ、賃金明細など)を残しておくと、判定の際の材料になります。在職中のうちに手元にコピーを取っておくことが現実的です。離職票の離職理由に納得できない場合は、ハローワークへの離職理由の変更申し出(「異議申立て」に相当する手続き)によって再判定を求めることができます。
特定受給資格者の認定を受けるかどうかは、最終的にハローワークが判断します。自分の退職理由がどのケースに当たるかは、以下の内部記事で基準をまとめているので、申し出前の参考にしてください。
退職後の資金繰りを計画的に進めたい場合、FP(ファイナンシャルプランナー)への無料相談を活用する方法もあります。失業保険の見込み額や給付金の受け取りスケジュールを踏まえた家計の整理を、個別にサポートしてもらえます。
退職後のお金の段取り(健康保険・年金・税金・生活費)を一人で整理しきれない場合、ファイナンシャルプランナー(FP)への無料相談も選択肢のひとつです。
特定受給資格者・特定理由離職者の認定基準は、こちらで整理しています。
早期に再就職が決まった場合は「再就職手当」を受け取れる場合もあります。失業保険を全部もらってから就職するより、早期再就職のほうが有利になるケースがあります。
職種別に、退職前のお金と手続きを整理した記事もあります。
看護師を辞めたいとき確認するお金と手続き
保育士を辞めたいとき退職前に知るお金
SESを辞めたい人の出口戦略
参考文献
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更(令和7年8月1日)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001520021.pdf
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。基本手当日額・給付日数・給付制限は、改定や個人の状況により変わります。シミュレーションは概算であり、正確な支給額はハローワーク・雇用保険受給資格者証でご確認ください。個別事案はハローワークにご相談ください。


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