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「退職給付金サポート」とは?国民生活センター注意喚起の中身と自力申請との違い【2026年版】

「退職給付金サポート」「社会保険給付金サポート」という広告を見て、怪しいと感じた方は少なくありません。実はこれらは公的な制度名ではなく、民間業者のサービス名(マーケティング用語)です。案内される中身は、失業保険や傷病手当金といった公的制度の申請です。国民生活センターは2025年12月3日、この種のサービスをめぐる相談増加を受けて注意喚起を出しました。本記事では、その中身と、自力申請(無料)との違いを事実ベースで整理します。

※本記事には広告(PR)が含まれる場合があります。
※個別事案は消費生活センター・社会保険労務士・ハローワークにご相談ください。


目次

この記事の要点

Q1. 「退職給付金サポート」は公的な制度ですか?

いいえ。公的制度名ではなく民間業者のサービス名です。案内されるのは失業保険・傷病手当金など既存の公的制度の申請です。

Q2. 国民生活センターは何を注意喚起していますか?

2025年12月、失業保険の給付額を増やせるとうたう申請サポートについて、不正受給を促しかねないケースがあるとして注意喚起しました。

Q3. 同じ申請を自分で無料でできますか?

できる場合が多いです。失業保険はハローワーク、傷病手当金は健保組合・協会けんぽの窓口で無料で手続き案内を受けられます。


1. 「退職給付金サポート」「社会保険給付金サポート」とは何か

公的制度ではなく、民間業者のサービス名

「退職給付金サポート」「社会保険給付金サポート」という名称の公的制度は存在しません。これらは、退職前後の人に向けて公的給付の申請を手伝うとうたう、民間業者のサービス名です。「退職コンシェルジュ」などの商品名で広告されることもあります。

案内される中身は既存の公的制度

業者が「最大◯◯万円もらえる」などと案内する給付の実体は、多くの場合、すでに用意されている公的制度です。代表的なものは次のとおりです。

  • 雇用保険の基本手当(失業保険):求職活動中の離職者が対象。所管はハローワーク。
  • 傷病手当金:病気やケガで働けない人が対象。所管は健康保険組合・協会けんぽなどの保険者。

これらは本来、本人が窓口で無料の案内を受けて申請できる制度です。業者が新たな給付を生み出すわけではありません。

なぜ「怪しい」と感じる人が多いのか

広告では「誰でも」「必ず」「最大◯◯万円」といった強い表現が使われることがあります。一方で、給付には個別の受給要件があり、誰もが同額を受け取れるわけではありません。この期待と実態のズレが、不信感の一因と考えられます。なお、社会保険労務士など専門家が関与し、適法に運営される事業者も存在します。サービス名だけで一律に判断するのではなく、後述するチェック項目で見極めることが大切です。


2. 国民生活センターの注意喚起(2025年12月3日)の中身

「失業保険の給付額を増やせる」申請サポートへの注意喚起

国民生活センターは2025年12月3日、「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意-不正受給を促すかのようなケースも!-」と題する情報提供を公表しました(出典:国民生活センター)。給付金の申請をサポートするとうたうサービスに関し、トラブルや不正受給につながりかねない勧誘への注意を呼びかける内容です。

相談件数は近年急増している

同センターのPIO-NET(全国の消費生活相談情報データベース)によると、この種のサービスに関する相談件数は次のように推移しています(出典:国民生活センター)。

年度 相談件数
2021年度 42件
2022年度 54件
2023年度 113件
2024年度 217件
2025年度(10月31日まで) 216件

2021年度の42件から、2024年度には217件へと大きく増えています。2025年度も10月末時点で216件にのぼり、相談は高水準で続いています。

指摘されている主な問題点

注意喚起や報道で指摘されている主な論点は、おおむね次のとおりです。

  • 給付額が期待より増えない:広告でうたう金額と実際に受け取れる額に差が生じるケース。
  • 解約時の高額な費用:解約や中途解除の際に高額な費用を求められるケース。
  • 不正受給につながりかねない勧誘:実態と異なる申請をうながすなど、不正受給を示唆するような勧誘が疑われるケース。

最後の点は、サポートを依頼した本人が法的責任を負いかねない重要な論点です。次章で詳しく見ていきます。


3. 法律上の論点:社労士の独占業務と不正受給のリスク

有償の申請代行は社会保険労務士の独占業務

雇用保険や健康保険など労働社会保険に関する手続きの申請書類を、報酬を得て作成・提出代行する業務は、社会保険労務士(労働・社会保険の手続きを扱う国家資格者)の独占業務とされています。根拠は社会保険労務士法です(出典:e-Gov 社会保険労務士法)。

つまり、資格を持たない業者が報酬を得て申請書類の作成・提出を代行することは、この独占業務に抵触するおそれがあります。一方で、一般的な情報提供や、社労士・弁護士と適法に連携して運営する形態もあり得ます。「サポート」を名乗る業者ができる範囲とできない範囲は、誰がどの業務を担っているかで変わります。

不正受給に加担した場合の本人のリスク

業者の勧誘に従った結果、実態と異なる申請をしてしまうと、申請者本人が責任を問われます。一般論として、次のようなリスクがあります。

  • 返還命令:不正に受け取った給付の返還を求められます。
  • 追加の納付(いわゆる3倍返し):雇用保険では、不正受給額の返還に加え、最大でその2倍に相当する額の納付を命じられる場合があり、合計で受給額の3倍に達し得ます(出典:厚生労働省)。
  • 詐欺罪に問われる可能性:悪質なケースでは刑事責任(詐欺罪)に問われることもあります。

業者に手伝ってもらったとしても、不正受給の責任は申請者本人に及びます。この点は十分に理解しておく必要があります。なお、個別の判断は専門家への相談が前提です。


4. 自力申請(無料)でできること

失業保険:ハローワークで無料申請

雇用保険の基本手当(失業保険)は、住所地を管轄するハローワークで手続きします。離職票などを持参して求職の申込みを行えば、窓口で要件や手順を無料で案内してもらえます。受給額や給付日数の目安は、退職理由や加入期間によって変わります。

失業保険の全体像は、こちらの記事で詳しく解説しています(内部リンク:失業保険 完全ガイド)。

傷病手当金:健保組合・協会けんぽで無料申請

傷病手当金は、加入している健康保険組合または協会けんぽに申請します。申請書には医師の証明欄があり、書き方や添付書類は保険者の窓口で無料で確認できます。退職後も一定の要件を満たせば継続して受給できる場合があります。

傷病手当金の要件や金額は、こちらの記事にまとめています(内部リンク:うつ病・退職と傷病手当金)。

窓口は無料で教えてくれる

失業保険も傷病手当金も、申請に手数料はかかりません。書き方が分からない場合も、ハローワークや保険者の窓口、社労士の無料相談などで案内を受けられます。退職後にもらえるお金の全体像は、こちらでまとめています(内部リンク:退職後にもらえるお金・給付金まとめ)。


5. それでも有償サポートを検討する場合のチェックリスト

有償のサポートを利用すること自体が一律に違法というわけではありません。社労士・弁護士が適法に関与する事業者も存在します。検討する場合は、次の5項目を契約前に確認することをおすすめします。

  1. 社労士・弁護士の関与が明示されているか:誰が手続きを担うのか、有資格者の関与が明記されているかを確認します。
  2. 料金と返金・解約条件が契約前に書面で確認できるか:違約金や中途解約時の費用を含め、書面で示されているかを確認します。
  3. 「誰でも・必ず・最大◯◯万円」と断定していないか:給付には個別要件があります。断定的な広告は実態と離れている可能性があります。
  4. 診断書の取得を業者が誘導していないか:実態と異なる診断書の取得をうながす勧誘は、不正受給につながりかねません。
  5. 消費生活センター(188)や国民生活センターの存在を知った上で判断しているか:相談先を把握したうえで、急かされずに検討することが大切です。

6. トラブル時の相談窓口

迷ったら「消費者ホットライン 188」

契約や勧誘で不安を感じたら、消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すると、最寄りの消費生活センター等の窓口を案内してもらえます(出典:消費者庁)。契約前でも相談できます。

国民生活センター・社労士・ハローワーク

  • 国民生活センター:注意喚起や相談事例の情報を公表しています(出典)。
  • 社会保険労務士:手続きの可否や適法性は、社労士に相談すると確実です。
  • ハローワーク・健保の窓口:申請の要件や手順は、所管窓口で無料で確認できます。

その場で契約を決めず、不明な点は公的窓口で確認してから判断することが、トラブル回避の基本です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 「退職コンシェルジュ」などのサービスは違法ですか?

サービス名だけで違法と断定はできません。社労士・弁護士が適法に関与する形態もあれば、独占業務や不正受給の点で問題が生じ得る形態もあります。誰が何を担うかを契約前に確認することが大切です。

Q2. サポートを使って受給した後で不正受給と分かったら、業者が責任を取ってくれますか?

一般論として、不正受給の返還命令や納付命令、刑事責任は申請者本人に及びます。業者に手伝ってもらった場合でも、本人の責任が免れるとは限りません。個別事案は専門家にご相談ください。

Q3. 違約金を請求されました。払う必要はありますか?

契約内容や勧誘の経緯によって判断が変わります。高額な違約金や不当な勧誘が疑われる場合は、支払う前に消費者ホットライン188へ相談してください。

Q4. 自分で申請するのは難しそうです。誰に聞けばよいですか?

失業保険はハローワーク、傷病手当金は健保組合・協会けんぽの窓口で無料で案内を受けられます。社労士の無料相談を利用する方法もあります。

Q5. 注意喚起の対象になっているのは特定の1社だけですか?

いいえ。国民生活センターの注意喚起は特定の1社を名指しするものではなく、給付金サポートをうたうサービス全般の相談増加を受けた情報提供です。


参考文献(一次情報URL)

  • 国民生活センター「給付金等の不正受給を示唆するような勧誘に注意!」(2025年12月3日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20251203_1.html
  • e-Gov 社会保険労務士法 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089
  • 厚生労働省 雇用保険関係(不正受給の取扱い) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_dishonesty.html
  • 消費者庁 消費者ホットライン188 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 国民生活センター 公式サイト https://www.kokusen.go.jp/

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事業者の利用を推奨・否定するものではありません。給付の可否・金額・手続きは個別の状況により異なります。契約・申請・トラブルに関する個別事案は、消費生活センター(188)・社会保険労務士・ハローワーク・各保険者など、それぞれの専門窓口にご相談ください。

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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
【取扱領域】
退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
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