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休職と退職どっちが先?傷病手当金がもらえる順番で考える判断ガイド【2026年版】

休職と退職のどちらを先にするか迷ったとき、判断の軸になるのは「傷病手当金を受け取れる状態を保てるか」です。傷病手当金は、退職後も継続して受け取れる場合があります。ただし、その条件は在職中の動き方で決まります。とくに退職日の過ごし方を誤ると、退職後の給付が受けられなくなることがあります。本記事では、休職と退職の順番を、傷病手当金の継続給付条件から逆算して整理します。

※本記事には広告(PR)が含まれます。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としています。受給の可否・金額は個別の状況により異なります。個別の状況は健康保険組合・協会けんぽ・ハローワーク・主治医にご確認ください。診断・治療・療養の判断は必ず主治医とご相談ください。個別の法律解釈は弁護士・社労士にご相談ください。

目次

休職 vs 退職、どっちがお金の面で有利?まず結論

休職か退職かを「どちらが得か」だけで比べると、判断を誤りやすくなります。お金の面でみると、最大の判断軸は傷病手当金を受け取れるかどうかです。

傷病手当金とは(30秒要点)

傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けないとき、健康保険から支給される制度です。給与のおよそ3分の2が、療養で働けない期間に支払われます(協会けんぽ 傷病手当金)。

ポイントは、この制度が在職中だけのものではないことです。条件を満たせば、退職後も「継続給付」として受け取れます。つまり、休職と退職のどちらを選んでも、受給の道は残せる可能性があります。判断軸は「どちらが先か」よりも「継続給付の条件を満たせるか」です。

休職して受け取る場合と退職後継続受給の違い

休職して受け取る場合と、退職後に継続受給する場合の主な違いを整理します。

比較項目 休職して受け取る 退職後に継続受給する
在籍 会社に在籍し続ける 退職して会社を離れる
社会保険料 会社負担分が続く(自己負担分の支払いは必要) 国保・任意継続・扶養いずれかへ切替
復職の選択肢 残せる なくなる
受給の前提条件 労務不能・待期完成 上記+被保険者1年以上・退職日に出勤しない
受給期間の上限 支給開始から通算1年6ヶ月 同左(在職中からの通算)

休職は復職の選択肢を残せます。退職は会社との関係を断てる一方、継続給付の条件が増えます。どちらを優先するかは体調や職場環境によって変わるため、就労や療養の見通しは主治医とご相談ください。

退職前後の手続き全体の流れは、体調不良で退職する前に確認する順番でも整理しています。

傷病手当金を受け取るために今すぐ確認すべき4つの条件

退職後も傷病手当金を受け取れるかどうかは、おもに4つの条件で決まります。とくに在職中にしか整えられない条件があるため、退職日を決める前の確認が重要です。

条件1:継続1年以上の被保険者期間

退職後の継続給付には、退職日までに「継続して1年以上の被保険者期間」が必要です(協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。健康保険の被保険者期間が退職日まで途切れず1年以上続いていることが前提で、転職直後など加入1年未満の場合は対象外になります。

条件2:労務不能と医師に判断(待期3日完成)

傷病手当金は、仕事に就けない状態(労務不能)であることが前提です。労務不能かどうかは医師の意見などをもとに判定されます(前掲・協会けんぽ 傷病手当金)。また、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった「待期」を満たす必要があり、連続3日の待期が完成した4日目から支給対象になります。待期の3日には有給休暇や土日・祝日も含められます。

条件3:退職日当日に出勤していない(最重要)

退職後の継続給付で最も見落とされやすいのが、退職日の過ごし方です。協会けんぽは、退職日に出勤した場合は継続給付の条件を満たさず、資格喪失後の傷病手当金は支払えないとしています(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。この「出勤」には、退職日の挨拶のための出社や私物・荷物の引き取りでの出社も含まれうると整理されています。この条件は後の章でさらに詳しく扱います。

条件4:同じ傷病が継続

継続給付は、退職前から続く同じ傷病が対象です。退職後にまったく別の病気を発症した場合、その新たな傷病は資格喪失後の継続給付の対象になりません(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。退職前から療養していた傷病が、退職後も引き続き労務不能の状態にあることが前提です。

4条件のいずれも、最終的な可否は個別の状況によります。ご自身のケースは健康保険組合・協会けんぽに、療養や労務不能の判断は主治医にご確認ください。

「休職せず退職」した場合もらえるか?条件別フローチャート

「休職を挟まず、診断書だけ取ってそのまま退職したい」という相談は少なくありません。休職せず退職した場合に継続給付を受けられるかは、状況によって分かれます。代表的な3パターンで整理します。

パターンA:在職中に受給していた(継続給付OKの可能性)

在職中に待期を完成させ、すでに傷病手当金を受給していたケースです。被保険者期間が継続1年以上あり、退職日に出勤していなければ、退職後も継続給付を受けられる可能性があります(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。この場合、休職という制度を使っていなくても、欠勤と給付の実態が整っていれば継続給付の対象になりえます。

パターンB:診断書のみで未受給(待期・退職日で判断)

診断書は取得したものの、まだ傷病手当金を受給していないケースです。退職日(資格喪失日の前日)時点で、傷病手当金を受給中、または受けられる状態である必要があります(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。そのためには、待期3日を在職中に完成させ、退職日に出勤しないことが前提になります。診断書を取っただけで欠勤実態がない状態で退職日を迎えると、継続給付の条件を満たせない場合があります。

パターンC:被保険者1年未満(継続給付対象外)

退職日までの被保険者期間が継続1年に満たないケースです。この場合、退職後の継続給付は受けられません(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。ただし、在職中の傷病手当金(資格喪失前の給付)は、労務不能・待期完成などの条件を満たせば受けられる場合があります。退職後も受け取れるかという点では、1年未満は分かれ目になります。

3パターンの違いを表にまとめます。

パターン 被保険者期間 退職時点の状態 退職後の継続給付
A 在職中に受給 継続1年以上 受給中・退職日に出勤せず 受けられる可能性
B 診断書のみ 継続1年以上 待期・退職日の扱い次第 条件を満たせば可能性
C 1年未満 1年未満 ── 対象外

自分がどのパターンに当てはまるかは、加入期間や欠勤の実態によって変わります。判断に迷う場合は健康保険組合・協会けんぽにご確認ください。うつ・適応障害など精神疾患での受給の考え方はうつ病・適応障害と傷病手当金でも扱っています。

受給期間は「支給開始から通算1年6ヶ月」——2022年改正

傷病手当金には、受給できる期間の上限があります。2022年の改正で、その数え方が変わりました。

通算方式の意味

2022年1月の改正により、支給期間は「支給を始めた日から通算して1年6ヶ月」に変わりました(厚生労働省 傷病手当金の支給期間の通算化、健康保険法99条 e-Gov 健康保険法)。改正前は支給開始から暦の上で1年6ヶ月が経過すると受け取った日数に関わらず打ち切りでしたが、改正後は実際に支給を受けた日数を積み上げて1年6ヶ月分になるまで受給できます。

一時復職しても残余期間は引き継がれる

通算方式では、途中で復職して給与が支払われた期間は、支給期間としてカウントされません(前掲・厚生労働省)。つまり、一度復職して再び療養に入った場合でも、残っている支給日数を引き継いで受け取れます。復職と再休職を繰り返すケースで影響が大きい変更です。休職と退職のどちらを選んでも、この通算1年6ヶ月という上限は共通して適用されます。

傷病手当金が終わった後——失業保険の受給期間延長

傷病手当金の支給が終わり、働ける状態に戻ったら、失業保険(雇用保険の基本手当)への切替を検討する段階になります。

同時受給不可の理由

傷病手当金は「労務不能(働けない)」が前提です。一方、失業保険は「働ける状態で求職活動をしている」ことが前提です。前提条件が相反するため、両方を同時に受け取ることはできません(ハローワーク 基本手当)。療養中は傷病手当金、回復後は失業保険、という時系列での切替が基本の流れです。

延長申請のタイミングと書類

失業保険は、原則として離職日の翌日から1年が受給期間です。病気などで引き続き30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。延長により、本来の1年に最大3年を加えた最長4年まで延ばせます(前掲・ハローワーク、東京ハローワーク 求職者給付Q&A)。

延長申請には期限があります。手続きの要件・期限・必要書類はハローワークにご確認ください。療養から就労へ移れるかどうかの判断は、主治医とご相談ください。

なお、2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職の場合の給付制限がそれまでの原則2ヶ月から1ヶ月へ短縮されました(前掲・ハローワーク)。傷病による退職の取り扱いは個別に異なるため、自分のケースの給付制限や受給開始時期はハローワークにご確認ください。失業保険の全体像は失業給付 完全ガイドで整理しています。

「今すぐ退職したい」と感じたときに先にやること3ステップ

体調がつらいと、まず辞めることを優先しがちです。しかし、在職中にしか整えられない条件があります。退職日を決める前に確認したい順番を3ステップで整理します。

ステップ1:主治医に相談する

療養が必要な状態か、働ける状態かの判断は医師が行います。傷病手当金は労務不能であることが前提のため、現在の状態をまず主治医に相談することが起点になります。診断・治療・療養の判断は主治医にご相談ください。

ステップ2:就業規則で休職制度を確認する

会社に休職制度があるかどうかは、就業規則で確認できます。休職制度を使えば、復職の選択肢を残したまま療養に入れる場合があります。休職と退職のどちらを先にするかは、この制度の有無も判断材料になります。

ステップ3:退職日当日の出勤を避ける

退職を選ぶ場合、退職日に出勤しないことが継続給付の条件に直結します(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。退職日の挨拶のための出社や荷物の引き取りも、出勤とみなされうる点に注意してください。退職日の行動は、健康保険組合・協会けんぽに事前確認することが安全です。

職場でのハラスメントなどにより、会社と直接やり取りすること自体が体調に負担となる場合があります。その場合、退職の連絡を代行に委ねる方法もあります。ただし、会社との法的な交渉ができるのは弁護士または労働組合に限られます。民間の退職代行業者は、即日対応など連絡の利便性はありますが、未払い賃金やハラスメントの慰謝料など法的な交渉は扱えません(弁護士法72条が定める非弁行為に当たるため)。退職日の設定は継続給付に直結するため、日程の扱いを業者任せにせず、自分でも確認してください。

よくある質問

被保険者期間が1年未満でも傷病手当金はもらえる?

在職中の傷病手当金は、労務不能・待期完成などの条件を満たせば、被保険者期間が1年未満でも受けられる場合があります。一方、退職後の継続給付は、退職日までに継続1年以上の被保険者期間が必要です(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。1年未満は、退職後も受け取れるかどうかの分かれ目になります。

有給消化中に退職日を迎えても継続給付は受けられる?

有給休暇で休んでいる期間の扱いは個別の状況によります。重要なのは、退職日(資格喪失日の前日)に出勤していないことです。退職日を有給で休んだ場合の取り扱いを含め、退職日の過ごし方は健康保険組合・協会けんぽに事前確認することをおすすめします。

健康保険組合と協会けんぽで条件は違う?

傷病手当金の基本的な仕組みは健康保険法に基づくため共通です。ただし、健康保険組合によっては独自の付加給付がある場合があります。継続給付の可否や金額の詳細は、加入先の健康保険組合または協会けんぽにご確認ください。

退職後に国民健康保険へ切り替えると継続給付はなくなる?

退職後の継続給付は、退職時に加入していた健康保険からの給付です。国民健康保険へ切り替えた後も、要件を満たせば継続給付を受けられる場合があります(前掲・協会けんぽ 資格喪失後の傷病手当金)。詳細は退職時に加入していた協会けんぽ・健康保険組合にご確認ください。退職後の保険切替は退職後の給付金 完全ガイドも参考になります。

参考文献

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本記事は一般的な情報の提供を目的としています。受給の可否・金額・期間は個別の状況により異なります。個別事案は健康保険組合・協会けんぽ・ハローワーク・弁護士・社労士・主治医にご確認ください。

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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
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退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
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