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うつで退職してもお金は途切れない|傷病手当金・失業保険・障害年金の受給順ガイド【2026年版】

うつで退職を考えるとき、いちばんの不安は「収入がゼロになるのか」「手続きの順番を間違えて損しないか」ではないでしょうか。結論からいうと、心身の不調で働けない期間には、傷病手当金・失業保険の受給期間延長・自立支援医療・障害年金といった複数の制度が用意されています。大切なのは金額そのものより「いつ・どこに・何を申請するか」という順番です。本記事では退職日を起点に、収入が途切れにくい受給の流れを公的情報をもとに時系列で整理します。

※本記事には広告(PR)が含まれます。
※本記事は一般的な制度情報の提供を目的としています。個別の受給可否・金額は、主治医・ハローワーク・年金事務所・健康保険組合(協会けんぽ)にご確認ください。
※心身の不調が続く場合は、医療機関への受診をご検討ください。診断・治療・療養の判断は必ず主治医とご相談ください。

目次

うつで退職後の収入、制度の全体像

退職後にお金が途切れないかが不安なときは、まず制度の全体像を時系列でつかむことが助けになります。制度ごとにバラバラに調べると、順番を見失いやすいからです。

受給の時系列マップ

心身の不調で退職する場合の、おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 【退職前〜直後】傷病手当金を在職中に開始し、退職後も継続給付を受ける(通算1年6ヶ月)
  2. 【退職後早めに】失業保険の「受給期間延長」を申請しておく(働ける状態になってから受給するため)
  3. 【並行して】自立支援医療で通院の自己負担を軽くする
  4. 【1年6ヶ月後】回復していれば失業保険へ、症状が続くなら障害年金の検討へ

このように、傷病手当金は「働けない期間」を、失業保険は「働けるようになってからの求職期間」を支える制度です。前提となる状態が異なるため、両方を同時には受け取れません。

なぜ「順番」が金額より大事なのか

それぞれの制度には申請期限や前提条件があります。たとえば失業保険の受給期間延長は、申請しないまま放置すると本来受け取れたはずの基本手当を受け取れなくなる場合があります。逆に順番さえ押さえておけば、収入が途切れる期間を小さくしやすくなります。本記事では、この順番をフェーズごとに見ていきます。

【フェーズ1】退職前〜退職直後:傷病手当金の継続給付

最初の支えになるのが傷病手当金です。在職中に始めておけば、退職後も継続して受け取れる場合があります。

傷病手当金の4要件

傷病手当金は、病気やけがで働けないときに健康保険から支給される制度です。協会けんぽは支給の要件として次の4つを示しています(協会けんぽ 傷病手当金)。

  1. 業務外の病気やけがの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと(労務不能。医師の意見などをもとに判定)
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと(待期。連続3日の待期完成後、4日目から支給対象)
  4. 休業した期間に給与の支払いがないこと(給与があっても傷病手当金より少なければ差額が支給)

心身の不調で就労できるかどうかの判断は、主治医が行います。療養や就労の可否は主治医とご相談ください。

退職後も受け取るための2つの前提

退職後も傷病手当金を継続して受け取るには、退職日(資格喪失日の前日)までに次の2つを満たしている必要があります(前掲・協会けんぽ)。

  • 健康保険の被保険者期間が、継続して1年以上あること
  • 退職日に傷病手当金を受給しているか、受けられる状態であること

転職直後などで加入期間が1年未満の場合、退職後の継続給付は受けられない点に注意が必要です。

退職日に出勤しない(最大の落とし穴)

協会けんぽは「退職日に出勤したときは、継続給付を受けるための条件を満たさないため、資格喪失後の傷病手当金は支払えません」と示しています。ここでいう「出勤」は通常の労務に限らず、退職日の挨拶や私物の引き取りのための出社も含まれうるとされています。退職日の過ごし方は、加入先の健康保険組合・協会けんぽに事前確認することをおすすめします。なお、申請書は2026年1月から電子申請にも対応しています(協会けんぽ 健康保険傷病手当金支給申請書)。

体調不良で辞める際の手続きの順番は、体調不良で退職する前に確認する順番でさらに詳しく整理しています。

【フェーズ2】退職後早めに:失業保険の受給期間延長申請

退職して落ち着いたら、できるだけ早めに済ませておきたいのが失業保険の「受給期間延長」の申請です。これを忘れると、回復後の求職活動でつまずきやすくなります。

なぜ延長申請が必要なのか

失業保険(基本手当)は、原則として離職日の翌日から1年が受給期間です。しかし病気などで引き続き30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。延長すると本来の1年に最大3年を加え、最長4年まで延ばせます(ハローワーク 基本手当について大阪労働局 受給期間の延長)。

うつで退職した直後は、まだ求職活動ができる状態ではないことが多いものです。そのまま1年が過ぎると受給資格を使い切ってしまうおそれがあるため、先に延長を申請して「働ける状態になってから」受給する形に整えておくわけです。

申請時期に注意

大阪労働局は、受給期間延長の申請について、引き続き30日以上働くことができなくなった日の翌日以降に手続きできると案内しています(前掲・大阪労働局)。申請できる期間や必要書類は管轄のハローワークによって案内が異なる場合があるため、退職後は早めにハローワークへ確認しておくと安心です。

傷病手当金とは同時に受け取れない

傷病手当金は「労務不能(働けない)」が前提、失業保険は「働ける状態で求職中」が前提です。条件が相反するため、両方を同時に受け取ることはできません。そのため実務上は、傷病手当金を受けている間は失業保険を「延長して止めておく」という整理になります。

休職と退職のどちらを選ぶか迷っている段階の方は、休職と退職はどちらを選ぶべきかもあわせてご確認ください。

【フェーズ3】並行してできる:自立支援医療で通院負担を軽く

ここまでの手続きと並行して検討できるのが、自立支援医療(精神通院医療)です。通院を続ける間の自己負担を抑えるための制度です。

自立支援医療(精神通院医療)とは

自立支援医療(精神通院医療)は、精神の疾患で継続的に通院する場合に、医療費の自己負担を軽くする公費負担医療の制度です。原則として医療費の自己負担が1割になります(厚生労働省 自立支援医療(精神通院医療))。退職して収入が下がる時期に、通院費の負担を抑えられるのは大きな意味があります。

申請窓口と更新

申請の窓口は、お住まいの市区町村です。所得に応じて1ヶ月あたりの自己負担に上限が設けられる仕組みがあり、有効期間は原則1年で、継続する場合は更新の手続きが必要です(前掲・厚生労働省)。対象となるかどうかや必要書類は、主治医や市区町村の担当窓口にご確認ください。診断や治療方針に関わる判断は主治医が行います。

【フェーズ4】傷病手当金終了後(1年6ヶ月後)の選択肢

傷病手当金は支給開始日から通算1年6ヶ月で上限を迎えます。その後の選択肢は、体調の回復状況によって分かれます。

回復している場合:失業保険の本受給へ

就労できる状態まで回復していれば、フェーズ2で申請しておいた受給期間延長を解除し、失業保険(基本手当)の受給を開始します。ハローワークで求職の申し込みを行い、就労可能であることを前提に手続きを進めます。療養から就労へ移れるかどうかの判断は、主治医とご相談ください。

症状が続く場合:障害年金の検討へ

通院や療養を続けても就労が難しい状態が続く場合は、次のフェーズで扱う障害年金が選択肢に入ってきます。傷病手当金の終了が近づいたら、早めに年金事務所へ相談を始めると、空白期間を小さくしやすくなります。

体調が戻ってきたら:働き方を選び直す段階も

体調が回復し、いきなりフルタイム勤務に戻すのが不安な場合、生活リズムを整えながら段階的に就労を目指す選択肢もあります。就労移行支援(一般就労を目指す訓練・準備をサポートする障害福祉サービス)はその選択肢の一つです。利用の可否や自分の状況への適合は個人差が大きいため、主治医や市区町村の窓口にご相談ください。

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体調が回復し「また働きたい」と思えてきた段階では、就労移行支援という公的な福祉サービスを使う選択肢もあります。生活リズムを整えながら、就職に向けた訓練やサポートを受けられる制度です(対象や利用要件は自治体・事業所により異なります)。

ミラトレ(パーソルチャレンジ)|就労移行支援の無料見学・相談

Neuro Dive|AI・データサイエンスを学べるIT特化の就労移行支援

いずれも一例です。利用には医師の意見書や自治体の手続きが必要な場合があります。診断・治療に関する判断は主治医に、利用可否はお住まいの自治体の窓口にご確認ください。

障害年金を検討する状態とは

傷病手当金の後の「出口」として知っておきたいのが障害年金です。おまけの制度ではなく、長期化したときの中心的な支えになり得ます。

障害年金の基本的な3つの要件

障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は、病気やけがで生活や仕事が制限される状態になったときに受け取れる年金です。日本年金機構は、障害厚生年金の受給について、おおむね次の3つの要件を示しています(日本年金機構 障害厚生年金の受給要件)。

  1. 初診日に厚生年金保険の被保険者であること(初診日要件)
  2. 一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件)
  3. 障害認定日に、定められた障害の状態にあること(障害状態要件)

「初診日」がいつかによって、障害基礎年金か障害厚生年金かなど受けられる年金の種類が変わります。判断が難しい部分のため、年金事務所への確認が欠かせません。

認定基準はあくまで目安

精神の障害については、日常生活や就労の状況などをもとに障害の程度が判断されます。具体的な認定の物差しは、日本年金機構の障害認定基準で公開されています(日本年金機構 障害認定基準)。ただし、認定は個別の状況を総合的に見て行われるため、基準を読んだだけで受給可否を自己判断することはできません。受給できる可能性があるかどうかは、年金事務所または社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

受け取れる金額のモデル(あくまで目安)

障害年金の額は等級や加入していた年金制度、家族構成などで変わります。下表は仕組みを理解するためのイメージであり、実際の金額を保証するものではありません。正確な見込み額は年金事務所でご確認ください。

区分 主な対象 金額のイメージ
障害基礎年金 国民年金加入中などに初診 等級に応じた定額(子の加算あり)
障害厚生年金 厚生年金加入中に初診 報酬比例(基礎年金に上乗せ)
障害手当金(一時金) 一定の障害が残った場合 一時金として支給

金額は法改正や年度で変動します。最新の額と自分の見込みは、必ず年金事務所でご確認ください。

【重要】「給付金サポート業者」に注意

お金の不安につけ込むトラブルへの注意も必要です。退職や休職をめぐる給付金の受給を持ちかける業者への相談件数は、国民生活センターが注意喚起を出すほど増加しています。

国民生活センターが注意喚起

国民生活センターは、退職や休職に関連して「社会保険給付金サポート」などをうたう民間事業者をめぐる相談が増えているとして、2025年12月3日に注意喚起を公表しました。相談件数は前年同期のおよそ2.4倍に増えているとされています(国民生活センター 注意喚起(2025-12-03))。

何が問題になりやすいのか

報じられている主な懸念は、次のような点です。

  • 高額なサポート料金(受給額の一定割合などを請求される)を契約後に求められる
  • 受給を確約するかのような勧誘がある
  • 本来は社会保険労務士でなければ業として行えない書類作成の代行が含まれるおそれがある

傷病手当金や障害年金などの申請書類の作成を「業として」代行できるのは、原則として社会保険労務士に限られます。受給の可否や金額をうたう勧誘には慎重になり、まずは公的窓口(協会けんぽ・健康保険組合・ハローワーク・年金事務所・市区町村)に相談するのが基本です。本記事は特定の給付金サポート業者を紹介・推奨するものではありません。

退職後のお金まわりの制度全体は、退職後の給付金 完全ガイドでも横断的に整理しています。

まとめ:時系列チェックリスト

退職日を起点とした行動の順番をチェックリストにまとめます。すべての人に同じ順番が当てはまるわけではありませんが、抜け漏れの確認にご活用ください。

タイミング 主な行動 確認・相談先
退職前 待期3日を在職中に完成させる/被保険者期間が継続1年以上あるか確認/退職日に出勤しない段取り 協会けんぽ・健康保険組合/主治医
退職直後 傷病手当金の継続給付の申請を続ける/健康保険の切替(任意継続・国保)を検討 協会けんぽ・健康保険組合/市区町村
1ヶ月以内 失業保険の受給期間延長を申請/自立支援医療を申請 ハローワーク/市区町村
通院中(並行) 自立支援医療の更新(原則1年)を忘れない 市区町村/主治医
1年6ヶ月後 回復→失業保険の延長解除・本受給/症状継続→障害年金を相談 ハローワーク/年金事務所・社労士

うつ病・適応障害と傷病手当金の関係は、うつ病・適応障害と傷病手当金でも整理しています。

FAQ

うつで退職したら、お金は本当に途切れないの?

要件を満たせば、傷病手当金・失業保険・自立支援医療・障害年金といった制度を順に使える場合があります。ただし、すべての人が必ず受給できるわけではありません。受給の可否は個別の状況により異なるため、各窓口にご確認ください。

傷病手当金をもらいながら失業保険ももらえる?

同時には受け取れません。傷病手当金は働けないこと、失業保険は働ける状態で求職中であることが前提のためです。回復後に失業保険へ切り替えられるよう、先に受給期間延長を申請しておく流れが一般的です。

障害年金は申請すれば必ずもらえる?

必ず受給できるとはいえません。初診日・保険料納付・障害状態の要件を満たすかどうかで判断されます。受給できる可能性があるかどうかは、年金事務所または社会保険労務士にご相談ください。

参考文献

関連記事

本記事は一般的な制度情報の提供を目的としています。個別の受給可否・金額・等級は状況により異なります。個別事案は主治医・ハローワーク・年金事務所・健康保険組合(協会けんぽ)・社会保険労務士にご確認ください。心身の不調が続く場合は医療機関への受診をご検討ください。

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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
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退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
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