退職後に真っ先に削るべきは「申請しないと減らない公的制度」だ。国民健康保険料の軽減と国民年金の免除・猶予は、手続きを自分でしない限り適用されない。この2つで月数千〜数万円単位の負担軽減になるケースがあり、民間の節約より先に着手する価値がある。通信費・民間保険・サブスクの見直しはその後でよい。
この記事の要点:
- 公的制度(国保軽減・年金免除)は申請主義。離職直後に市区町村窓口へ行く
- 民間保険は「解約一択」でなく「続ける・減額・解約」の3択で判断する
- 住居費・サブスク・公的貸付は優先度順に最後に位置づける
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退職後の給付金や手続きの全体像は退職後の給付金・手続き完全ガイドでまとめている。
① 国保料の軽減・国民年金の免除から着手する
日本の公的減免制度は「申請主義」だ。役所が自動で安くしてくれるわけではなく、本人が手続きして初めて適用される。退職後に最初に確認すべき2つがここにある。
国民健康保険料の軽減(会社都合・特定理由離職)は、倒産・解雇・雇い止めなどで離職した人を対象に、前年の給与所得を30%として算定し直す仕組みだ(厚生労働省「非自発的失業者の保険料軽減」)。自己都合退職は原則対象外で、雇用保険の離職票が申請に必要になる。国保と任意継続の比較は退職後の国保と任意継続どちらが得かで整理している。
国民年金の免除・猶予は、失業を理由とする特例申請があり、前年所得を除外して審査される(日本年金機構「保険料の免除・納付猶予」)。免除期間分の年金額は減るが、後から追納する仕組みもある。要件と申請手順は退職後の国民年金 免除・猶予ガイドを参照のこと。
この2つは同時並行で申請できる。離職票が届いたらなるべく早く市区町村窓口とねんきんネットを確認するのが基本手順だ。
② 民間保険は「続ける・減額・解約」の3択で判断する
公的制度の次は民間の生命保険・医療保険だ。月額保険料は固定費として毎月効いてくる。
見直しは「解約するかしないか」の2択ではない。保障額を下げて減額する選択肢がある。無職期間だけ減額し、再就職後に元の保障に戻すというアプローチも保険会社によっては対応している。解約後に再加入しようとすると、健康状態によっては加入できないか保険料が上がるリスクがあるため、安易な解約は慎重に判断したい。
どの保険を見直すか、解約前に何を確認すべきかは個別性が高い。詳細な判断軸は退職後の民間保険の見直し方で整理している。
③ 通信費はプラン容量と実使用量の照合から始める
無職期間は在宅時間が増え、自宅Wi-Fiを使う時間が長くなる。外出時の通信が減るなら、大容量プランを継続する必然性が薄くなる。まず直近3か月の使用データ量を確認して、契約容量との乖離を把握するのが出発点だ。
大手キャリアから格安SIMやサブブランドへの乗り換えは、料金だけでなくサポート体制・通信品質も含めた比較が必要だ。特定の事業者を推奨するものではなく、総務省「家計消費状況調査」によれば通信費の家計負担は増加傾向にあるため(総務省 家計消費状況調査)、改めて現状を確認する機会にはなる。乗り換え手続きの手間やMNP転出費用も総額で見て判断したい。
④ 住居費は住居確保給付金の対象確認を先に
住居費は固定費の中で金額が最も大きい項目の1つだが、引越しには敷金・礼金・仲介手数料・運送費の初期費用がかかる。無職期間は入居審査が通りにくい状況もあり、「月々の家賃が下がるから引越す」という判断は初期費用を含めた総額で損益分岐を計算してからにしたい。
家賃が重い場合は、まず住居確保給付金の対象になるか確認する。離職などで住居を失うおそれがある場合に家賃相当額を一定期間支給する制度で、収入・資産・求職活動などの要件を満たす必要がある(厚生労働省「住居確保給付金」)。窓口は自治体の自立相談支援機関だ。詳細は住居確保給付金の対象と申請ガイドで確認できる。
⑤ サブスクの棚卸しと、最終手段の公的貸付
サブスクは1件あたりの金額が小さく見落とされやすいが、複数重なると月数千円になる。銀行口座やクレジットカードの明細から毎月・毎年の自動引き落としを書き出し、「直近3か月で使ったかどうか」を基準に整理する。使っていないものは解約、年に一度しか使わないサービスは都度契約への切り替えを検討する。年払い契約は更新月をカレンダーに入れておくと不要な更新を防ぎやすい。
固定費を一通り見直しても生活費が足りない局面では、公的貸付を最終手段として把握しておく価値がある。生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金は、無利子または低利子で少額を借りられる(厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」)。窓口は社会福祉協議会で、要件と貸付上限が定められている。あくまで借入のため、返済の見通しを立てたうえでの検討になる。詳細は退職後の緊急支援・公的貸付ガイドを参照のこと。
優先順に整理した見直し手順
固定費の見直しは、効果が大きく手続きコストが低い順に動くのが原則だ。
- 国民健康保険料の軽減を申請する(会社都合・特定理由離職が対象)
- 国民年金の免除・猶予を申請する(失業特例の確認)
- 民間保険を3択で判断する(続ける・減額・解約)
- 通信費のプラン容量を使用実績と照合する
- 住居確保給付金の対象か確認し、引越しは総額で判断する
- サブスクを明細から棚卸しして未使用を解約する
- 不足するなら公的貸付(緊急小口資金等)を確認する
保険・税・年金が複合して判断に迷う場合、家計全体の見通しを立てたい場合は、FPなど第三者への相談も選択肢の1つだ。
退職後のお金の段取り(健康保険・年金・保険・生活費)を一人で整理しきれない場合、ファイナンシャルプランナー(FP)への無料相談も選択肢のひとつです。
相談自体は無料ですが、紹介されるFP経由で保険などの提案を受ける場合があります。契約の要否はご自身で判断してください。自治体の無料家計相談や日本FP協会の無料相談会という選択肢もあります。
参考文献
- 厚生労働省「非自発的失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v.html
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除・納付猶予」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
- 厚生労働省「住居確保給付金」 https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html
- 厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059401.html
- 総務省「家計消費状況調査」 https://www.stat.go.jp/data/joukyou/index.html
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。各制度の軽減・免除・給付・貸付の要件や金額は、自治体や個人の状況により異なります。個別事案は市区町村窓口・社会福祉協議会・ハローワーク・社労士・FP等にご相談ください。

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