退職後の健康保険は、国民健康保険(国保)と任意継続の2択が基本です。どちらが安いかは、月収・扶養家族の人数・退職理由によって変わり、ケースによっては年10万円以上の差が出ます。とくにパワハラや解雇などで退職した「特定受給資格者」は、国保料が大幅に軽減される制度があり、国保が有利になりやすいです。本記事では、両者の仕組みと月収別の比較目安、扶養家族がいる場合の考え方、申請期限を整理します。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別事案は社会保険労務士または弁護士にご相談ください。
退職後の健康保険は2択が基本
退職して会社の健康保険を抜けると、次のいずれかを選ぶことになります。
任意継続とは
任意継続は、在職中の健康保険をそのまま最大2年間継続する制度です。在職中は保険料を会社が半額負担していましたが、退職後は全額自己負担になります。
ただし保険料には上限があります。協会けんぽの場合、標準報酬月額が月28万円換算を超える人は、その上限額で保険料が計算されます。つまり、高収入だった人ほど任意継続が割安になる場合があります。
国民健康保険とは
国民健康保険は市区町村が運営する制度です。保険料は前年の所得・家族構成・お住まいの地域によって決まります。前年の所得が高いと保険料も高くなる仕組みです。
特定受給資格者の軽減制度(最重要)
ここが判断を大きく左右するポイントです。
倒産・解雇・パワハラ・ハラスメント・残業が月100時間を超えるなどの理由で退職した「特定受給資格者」「特定理由離職者」は、国保料の計算において前年所得を30%とみなして計算されます。この軽減は最長2年間続きます(出典:厚労省)。
たとえば前年の年収が400万円だった人でも、120万円相当として保険料が計算されます。結果として国保料が大幅に下がります。
この軽減制度の対象になる場合は、国保のほうが任意継続より圧倒的に安くなるケースが多くなります。自分が対象かどうかは、離職票の離職理由コードで確認できます。
月収別・扶養家族別の比較目安
在職時の標準報酬月額と前年所得をもとにした目安です。
| 月収 | 退職理由 | 国保月額目安 | 任意継続月額目安 | 差額(年間) |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 一般自己都合 | 約1.8万円 | 約2万円 | 国保が約2.4万安 |
| 20万円 | 特定受給資格者 | 約0.8万円 | 約2万円 | 国保が約14.4万安 |
| 30万円 | 一般自己都合 | 約2.8万円 | 約3万円 | 国保が約2.4万安 |
| 30万円 | 特定受給資格者 | 約1.2万円 | 約3万円 | 国保が約21.6万安 |
| 40万円以上 | 一般自己都合 | 約3.5〜4万円 | 約3万円(上限) | 任意継続が安い場合も |
※地域・世帯構成・介護保険料の加算によって金額は大きく変わります。必ず市区町村の窓口で見積もりを取ってください。
この表からわかるのは、特定受給資格者であれば国保が大きく有利になる一方、月収40万円以上の自己都合退職では任意継続の上限が効いて任意継続が安くなる場合もある、という点です(出典:協会けんぽ 任意継続)。
扶養家族がいる場合
扶養家族の有無も判断材料になります。
任意継続は人数が増えても保険料が変わらない
任意継続は、扶養家族を追加しても保険料が変わりません。1人分の保険料で家族全員をカバーできます。
国保は人数分が加算される
一方、国保は加入する家族1人ずつに保険料(均等割)が加算されます。扶養家族が多い世帯ほど、国保が割高になるケースがあります。
つまり、扶養家族が多い場合は任意継続が有利になりやすく、単身者で特定受給資格者なら国保が有利になりやすい、という傾向があります(出典:協会けんぽ 退職後の健康保険)。
手続きのタイミングと期限
どちらを選ぶにしても、期限があります。
おすすめの進め方は、まず任意継続と国保の両方で保険料を試算し、安いほうを選ぶことです。任意継続の保険料は退職前の健康保険組合へ、国保の保険料は市区町村の窓口で確認できます。
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まとめ
退職後の健康保険は国保と任意継続の2択で、最大で年10万円以上の差が出ることもあります。判断の決め手は、特定受給資格者の軽減制度に該当するか、扶養家族が何人いるかです。パワハラや解雇で辞めた単身者なら国保が有利になりやすく、扶養家族が多い人や高収入だった人は任意継続が有利な場合があります。期限はどちらも短いため、退職が決まったら早めに両方を試算しましょう。失業給付の進め方とあわせて確認しておくと安心です。
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