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退職金がもらえない時の対処法|退職代行で請求できるかと時効5年ルールを解説【2026年版】

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先に結論です。退職金トラブルで動ける選択肢は、退職代行の業者タイプによって明確に異なります。民間型は金額交渉ができず、労組型は団体交渉まで、弁護士型は内容証明・労働審判・訴訟まで対応できます。時効は労基法115条により原則5年ですが、起算点は退職日ではなく「規程上の支払時期」です。

この記事の要点

  • 退職代行の民間型は退職金の交渉ができない(非弁行為のため)。労組型・弁護士型を選ぶ必要がある
  • 退職金請求権の時効は労基法115条により原則5年。一般賃金の「当分の間3年」とは別扱い
  • 懲戒解雇でも退職金の全額不支給が常に認められるわけではない(小田急電鉄事件)

目次

退職金が支給される3条件と、もらえない4パターン

日本の法律に「退職金を支払わなければならない」という直接の規定はありません。支給根拠が確立してはじめて請求権が発生します。

支給義務が生じる根拠は3つです。就業規則・退職金規程に定めがある場合、労働協約に退職金条項がある場合、そして長年の慣行から労使慣行(黙示の合意)として認められる場合です。退職金は、支給基準が確立していれば労働基準法第11条の「賃金」に該当します(出典:e-Gov 労働基準法第89条・第11条)。

支払われない事案は、原因によって対応が変わります。

パターン 状況 主な対応
A. 規程なし型 退職金制度が存在しない 請求権なし。労使慣行の有無を確認
B. 規程あり・支払拒否型 規程はあるが会社が拒む 内容証明+労働審判(弁護士型)
C. 減額・遅延型 一部のみ支払・支払時期を遅延 規程との差額を請求(労組型・弁護士型)
D. 倒産型 会社の経営破綻で支払い不能 未払賃金立替払制度(労基署経由)

厚労省「令和6年就労条件総合調査」によれば、退職給付制度がある企業の割合は事業所規模で大きく異なり、中小規模ほど制度がない傾向があります(出典:厚労省 令和6年就労条件総合調査)。まず自社に規程があるかを確認することが出発点です。


退職代行で退職金は請求できるか:民間型・労組型・弁護士型の違い

退職代行3類型のうち、退職金請求にどこまで対応できるかは運営主体の法的権限によって異なります。

業務 民間型 労組型 弁護士型
退職金未払いの意思通知
退職金の交渉 ×
内容証明郵便での請求 ×
労働審判・訴訟代理 × ×

民間業者は「未払いがある」と会社に伝えるところまでです。金額確認・算定根拠の提示・支払時期の交渉は法律事務に該当する可能性があり、弁護士法第72条の非弁行為になるリスクがあります(出典:e-Gov 弁護士法第72条)。

2025年10月22日に退職代行「モームリ」運営会社が弁護士法違反容疑で家宅捜索を受け、2026年2月3日には代表夫妻が逮捕されました。民間型が法的請求を担うリスクが顕在化した事案です。退職金請求のような交渉を伴う依頼では、民間型ではなく労組型・弁護士型を選ぶのが安全です(出典:TSR モームリ運営会社報道)。詳細はモームリ事件の全貌を参照してください。

労組型は労働組合法第6条・第7条に基づき、団体交渉で退職金未払いを請求できます。ただし内容証明での個別請求や訴訟代理は本来の射程外であり、問題が大きい場合は弁護士型へのエスカレーションが現実的です。弁護士法人型は退職金規程の精査から内容証明・労働審判・訴訟・強制執行まで一貫して対応できる唯一の類型です。退職金額が数十万円を超える場合、成功報酬を差し引いても弁護士型を選んだほうが手取り回収額が大きくなるケースがあります。

非弁行為の詳細はこちら、退職後にもらえるお金の全体像は退職後のお金 完全ガイドにまとめています。


退職金請求権の時効:原則5年と起算点の注意

退職金請求権の時効は、労働基準法第115条により原則5年です。

この法律の規定による賃金、災害補償その他の請求権はこれを行使することができる時から五年間、その他の請求権は二年間行使しない場合においては、時効によつて消滅する。

出典:e-Gov 労働基準法第115条

2020年4月の改正で一般の賃金請求権は原則5年に延長されましたが、附則により「当分の間3年」とする経過措置が置かれています。退職金の時効はこの経過措置の対象外で、原則どおり5年が適用されます(出典:厚労省 賃金請求権時効延長パンフ)。

注意が必要なのは起算点です。退職金の時効は退職日翌日からではなく、退職金規程に定められた支払時期の翌日が起算点です。規程に「退職後3か月以内」とあれば、その3か月後から5年になります。

時効完成前に内容証明郵便で「催告」すると6か月間時効完成が猶予され、労働審判・訴訟の提起で時効更新となります。時効が迫っている場合はまず内容証明を送ることが有効な手段です。

日本弁護士連合会は2025年6月、一般賃金の時効経過措置の撤廃を求める声明を発表しています(出典:日弁連声明)。退職金への直接の影響は限定的ですが、未払残業代等を併せて請求する場合は最新動向を確認してください。


未払い退職金の請求フロー(4ステップ)

時効が迫っている場合はステップ3(内容証明)を優先してください。

ステップ1:証拠の確保

就業規則・退職金規程の写し、雇用契約書、給与明細(直近6か月程度)、退職届の控え、会社とのメール・チャット履歴を集めます。就業規則は在職中なら人事部に閲覧を申し出るのが最短です。退職後は所轄の労働基準監督署で閲覧できる場合があります(常時10人以上の事業場は届出義務あり、労基法89条)。

ステップ2:会社への書面請求

期限を区切り(例:2週間以内に振込)「退職金規程に基づく支払いを求めます」と書面・メールで伝えます。

ステップ3:内容証明郵便での催告

口頭・メールで動かない場合は内容証明郵便で正式に催告します。配達証明を併用すると受領日が確定し、時効完成猶予の起算点が明確になります。内容証明は弁護士に依頼することで書式の不備を防げます。

ステップ4:労働審判・訴訟

労働審判は原則3回以内の期日で解決を図る制度で、通常訴訟より迅速です。厚労省のあっせん制度(無料)も第一段階として利用できます(出典:厚労省 あっせん事例32)。

ステップ 自分で対応 労組型代行 弁護士型代行
規程確認・書面請求
内容証明催告
労基署あっせん
労働審判・訴訟 ×

懲戒解雇された場合の退職金:全額不支給が認められないケース

「懲戒解雇=退職金ゼロ」は必ずしも正しくありません。

小田急電鉄事件(東京高判平成15年12月11日)では、従業員が痴漢行為で有罪となり会社が退職金を全額不支給とした事案で、東京高裁は「永年の勤続功労を抹消するほどの強度の背信性がない限り、全額不支給は認められない」と判示しました(出典:裁判所 小田急電鉄事件)。当該事案では退職金の30%相当額の支払いが命じられています。

裁判所は、非違行為の性質・重大性、業務との関連性、会社の損害の程度、勤続年数・功績、規程の不支給事由への該当性などを総合判断する傾向があります。厚生労働省は退職金関連の主要判例を「賃金・退職金関係判例」として公開しているため、類似事案の確認に使えます(出典:厚労省 賃金・退職金関係判例)。

懲戒解雇の有効性自体を争う場合は退職金請求と論点が複合するため、弁護士型退職代行または労働問題に強い弁護士への相談が現実的な選択肢です。損害賠償リスクとの関係は判例解説記事もあわせて参照してください。


退職金トラブルで相談する退職代行の選び方

退職金の法的請求が必要な場面では、弁護士型退職代行が選択肢になります。

未払い・損害賠償・ハラスメントなど法的な交渉や請求が絡む退職では、弁護士法人型の退職代行が選択肢のひとつです。

ガイア総合法律事務所|弁護士による退職代行(公式サイト)

編集部注記:弁護士法人みやび(要警戒)

弁護士法人みやびは知名度のある弁護士法人型ですが、2026年2月24日に所属の佐藤秀樹弁護士(および弁護士法人みやび)がモームリ事件関連で弁護士法違反罪により在宅起訴されています(出典:時事通信2026/2/24)。法人自体への処分は2026年6月時点では確認されていません。利用を検討する場合は最新の動向をご確認ください。

退職金の交渉は不要で、退職の意思通知のみが目的であれば労組型(男の退職代行・わたしNEXT等)も選択肢です。労組型は団体交渉権があるため、交渉が発生した場合も一定範囲で対応できます。


FAQ

Q. 退職代行を使ったら退職金を減額されることはある?

退職代行の利用自体を理由とした退職金減額は、就業規則上の不支給・減額事由に該当しない限り認められません。退職金規程に「退職代行を使った場合は減額する」という条項を置くこと自体、合理性を欠き無効と判断される可能性があります。

Q. 退職金と解決金は別物?

別物です。退職金は就業規則等に基づく支給金で、解決金は紛争解決のために任意で合意される金銭です。労働審判や訴訟上の和解で「解決金」として支払われる場合、退職金未払い・残業代未払い・慰謝料相当額などが包括的にまとめられることがあります。税務上の扱いも異なるため、合意書の文言に注意が必要です。


参考文献(一次情報)

  • e-Gov 労働基準法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049/
  • e-Gov 弁護士法第72条 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205
  • 厚労省 賃金請求権時効延長パンフ https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf
  • 厚労省 令和6年就労条件総合調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/index.html
  • 厚労省 賃金・退職金関係判例 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/chingin/taisyoku.html
  • 厚労省 あっせん事例32 https://www.mhlw.go.jp/churoi/assen/dl/jirei32.pdf
  • 裁判所 小田急電鉄事件 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail6?id=18545
  • 日弁連 賃金請求権の消滅時効期間に係る経過措置撤廃を求める声明 https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2025/250612.html
  • TSR モームリ運営会社報道 https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202359_1527.html
  • 時事通信2026/2/24 https://www.jiji.com/jc/article?k=2026022401063&g=soc

関連記事

免責:本記事は2026年6月13日時点の公開情報をもとにした一般的な解説です。退職金規程・労働協約・労使慣行は事業場ごとに異なり、懲戒解雇時の不支給・減額の可否も個別事情で判断が分かれます。個別事案は弁護士にご相談ください

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※2026年2月、弁護士法人みやびの所属弁護士1名(および両法人)がモームリ事件関連で弁護士法違反罪により在宅起訴されています(時事通信2026/2/24)。本記事ではメインCVとして掲載していません。法人自体への処分は2026年6月時点で確認されていません。

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この記事を書いた人

仕事リサーチ編集部
「働き方の意思決定を支える中立調査メディア」を運営する独立系編集部です。退職代行サービス・転職エージェント・労働法・副業・給付金など、働き方にまつわる重要トピックについて、業者や弁護士事務所、転職エージェントと利害関係を持たない第三者の立場から、一次情報に基づく検証記事を発信しています。
【取扱領域】
退職代行/転職エージェント/労働法/副業・給付金制度
【編集方針】
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